つい最近ヨーロッパ各国を廻ってきた。言葉でやり取りできる場合もあれば、言葉がまったく通じない場合もある。ただ言葉に関係なく気持ちよく接してくれる相手もいれば、そうでない相手もいたのは確かだ。そう考えていたときであった言葉が「表情の基本は確かさにある」だった。なにより表情が一番大切なものかもしれない。
岡野宏氏-元NHK美粧師
俳優はもとより、大企業の経営者、歴代首相など、成功者の顔をメークしてきた
角栄さんの怒った顔はすさまじい! 目をむいてガガガーッと怒る。でも、ちょっと間を置いた後、必ず怒られた人の肩を抱いて、にこっと笑うんです。「お前がかわいいから怒ったんだ」という表情を作ってから別れる。怒られた方は、そんなに真剣に思ってくれてたんだと感じて、もう命を捧げるくらいの信者になってしまうんです。
表情がものを言うのは、その「すごさ」じゃなくて「確かさ」なんですね。このポイントでこの顔を持ってくる。相手が希望しているものに、程よくマッチできるかどうかなのです。
ただ私が思うに、一般の方々が、ほおで気を引き締めるのは難しい。ならば、まゆをぐっと寄せてみてください。指を目の前に1本立てて、一点を見る。そうすると顔が締まります。役者さんが二枚目の顔を作る時、ここを締めるんですよ。やってみてください。
仕事の顔を作る時は、鏡を見た時に、かっこいいかどうかは見ないでください。契約が取れそうか、売れそうな顔をしているか、何よりその場に合った顔をしているかを見てください。あなたの顔はお金を生む顔になっていますか?